外国人ITエンジニア向け人材採用サービスの実証実験。パーソルキャリアとNECが協働で開始
IT人材不足解消に向け、重要度が高まる国際競争力と能力の見極め
現在の日本では、IT人材不足の深刻化が進み、2030年には最大80万人の人材不足となる調査結果も出ている。国内でIT人材の獲得競争が激化する中、海外の優秀な人材を雇用・定着させることで日本経済の更なる活性化を図り、国際競争力を高めていくことが必要だといえる。
また、新型コロナウイルス感染症拡大により、採用活動や就労形態もオンライン化が進んでおり、企業は転職希望者の「経験」や「スキル」など、職務経歴書や面接だけでは測れない部分を「遠隔やオンライン上でどのように見極めるか」といったことが重要性を増している。一方で、転職希望者自らが自身の個人データを管理し、アクセスコントロールする必要性も高まっており、データ活用のあり方も問われている現状だ。
オンラインでの新たな採用システム構築により、海外在住エンジニアの採用を強化
このような状況を受け、パーソルキャリアとNECは、それぞれの知見や技術をもとに、外国人ITエンジニアの採用を検討中の日本企業に対する「ダイレクトリクルーティングサービス」の実証実験をおこなうことを決定。この実証実験においては、GMOインターネット株式会社、株式会社ワイヤードビーンズを含む計6社の日本企業が協業し、インド在住のITエンジニアを対象に採用活動を実施するとのこと。
また本実証実験では、NECが開発したブロックチェーン技術とAONT技術を用いたアプリケーションを使用。転職希望者は、個人情報などの秘匿性の高い情報をセキュアかつ簡単に追加、編集、削除できるほか、アクセスコントロールによるデータの開示可否の設定により、情報の真正性を担保できるのだという。これらの技術により、参画するインド在住のITエンジニアは、公平に自分の経験・スキル・実績を証明し、自身の履歴書やスキル情報の真正性を担保。求人企業はそれらの情報によって、採用後の人材ミスマッチを防ぐことが期待できるしくみとなっている。
また採用にあたって、転職希望者であるインド在住ITエンジニアは、現地で事前のオンラインスキルチェックを実施。結果はスマートフォンアプリと自動連携されるため、自身のスキルの信頼性を維持することができる。また、この結果は転職希望者がアクセス許可した全企業が閲覧できるため、企業が独自のスキルチェックテストを実施する手間が省けるとともに、転職希望者の選択肢の幅を広げる役割にも期待できるということだ。
両社は2020年8~10月にわたる3ヵ月間の実証実験を通じ、転職希望者個人の経験や知識、実績をもとにインド・日本と、国をまたいだ就業機会を創出した。NECでは、2020年度中の「ダイレクトリクルーティングサービス」の本格開始を目指しているという。なお、本実証実験では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮し、インド・日本での今後の採用、就労環境の変化に対応するサービスのあり方についても検討していく考えだ。
両社は最新のICTを活用した本実証実験取り組みを通じ、世界中の人々が国境を越え信頼・協力しあえる多様な働き方、生き方が可能な世界の実現に向けて、今後取り組んでいくという。
コロナ禍によるデジタル化の加速を受け、IT人材の確保は企業の急務といえるだろう。新たな採用手法の確立や活用により、受け入れる人材の対象を広げることも視野に入れてみてはいかがだろうか。
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