AI導入の障壁を最小化するには?AIで従業員のデジタル変革を実現する3つのポイント

「AI(人工知能)」や「デジタル化」という言葉が、ビジネスの世界で飛び交っている。2020年1月28日、都内にて「NTTテクノクロス AIセミナー 2020~真に役立つAIサービスのために~」(主催:NTTテクノクロス株式会社)が開催された。NTTテクノクロス株式会社のプリンシパルビジネスプロデューサー・生駒勝幸氏とイントラプレナー・安田航氏が、現場における体験と教訓を交えながら、AIで従業員のデジタル変革を成功に導く3つのポイントについて共有した。

「モノづくり」「コトづくり」の先にある「チエづくり」の会社を目指す!

NTTテクノクロス社は、旧NTTソフトウェアと旧NTTアイティが合併し、NTTアドバンステクノロジーの一部事業を譲受する形で、2017年に発足したIT企業だ。

同社代表取締役社長・串間和彦氏は、社名に込めた想いとして「強い開発力と売れる商品を併せ持つ、ユニークなIT企業になりたい」と語った。

NTTテクノクロス社は、いわゆる「モノ作り」や「コト作り」の先にある、「チエ作り」が出来る企業を目指している。具体的には、AIやビッグデータを活用して、「あったら良いな」というレベルを超えた、「なくてはならない」製品の開発に取り組んでいる。

同社のAI研究の歴史は長く、NTT研究所と共に、1980年代の「AI第一世代(探索、推論、自然言語処理、ニューラルネットワーク)」から研究開発に関わってきた。2018年には、「AIファースト」を宣言し、本格的にAI商品の開発に乗り出した。2019年、NTTグループは「IOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)」という次世代ICTインフラ構想を打ち出した。これは、ネットワークから端末・サーバまで、全てを光化する「オールフォトニクス・ネットワーク」構想だ。ここにAIやデジタルの要素を上乗せする構想で、NTTテクノクロス社も積極的に関与していく方針だ。

「失敗するAI導入」。その原因に迫る!

冒頭、生駒氏は、3年前から『AIは幻滅期に突入している』と言われ始めていることに触れた。それはAIを導入したが、期待された成果が出ていない企業が存在するからだそうだ。

AI導入の難しさには大きく2つあり、ひとつは「導入までの障壁」、もうひとつは「導入後の効果」である、と生駒氏は語る。導入後に思ったような効果が出ない点について、生駒氏は「AIありきの無目的な導入」と「価値を生まないところにAIを使っていること」などを、原因として指摘した。


「AI・IoT・5G・VR・ARなどの技術は、それ自体では価値を生み出しません。目的が曖昧なままAIを導入した結果、効果が発揮できなかった、というケースが多いように見受けられます」(生駒氏)。

AI導入の効果を最大化するためには、「事実に着目し、方法論、目的、最終的なゴールまでをきちんと考えるべき」と生駒氏は提言する。その際に一番大事なのは、現場の課題、知識、経験を把握して、AI開発に活かしていくことだという。そして、AIを活用し、企業の成長スピードを高めるためには、「スモールスタートで小さな成功体験を積み重ねて、徐々に大きく育てること」が肝要だとも語った。

NTTテクノクロス社では、クライアントへの導入体験後に、必ず「フィードバック」と「効果検証」というプロセスを組み込み、「AI導入の効果が出なかった」で終わらせない取り組みを提案している。

「AI導入プロジェクト」を成功させる「3つのポイント」とは何か?

これらの概要を踏まえて、イントラプレナーの安田航氏から、実際の導入実績や経験から導き出された「AI導入の障壁を最小化する方法」、そして「効果を最大化するための具体的ポイント」が紹介された。

その3つのポイントは、次のとおりだ。
1)ビジネスプロセス全体を変えること
2)デジタル化したデータを活用すること
3)関係者全員を巻き込むAI導入を実現すること

「AI導入の効果が小さい」と言われるケースには、「今あるビジネスプロセス全体を考慮せず、部分的にAIを導入している」という特徴がある、と安田氏は語る。局所的・属人的なAI導入は、むしろビジネスプロセス全体の流れを阻害する恐れがある、というのだ。AI導入は、ビジネスプロセス全体を変える過程で進める必要がある、と安田氏は指摘した。


AIを導入するということは、データを活用する、ということだ。しかし、「実はこれが一番大変です」と安田氏は述べている。例えば、コンタクトセンターの音声分析のためには、音声の書き起こしデータが必要になる。そのデータ収集には、約1000時間が必要になるそうだ。必要なデータをどのように集めるか。これが第一の課題になる、と安田氏は指摘した。


そこで改めて考えなくてはならないことが、「デジタル改革」というキーワードだ。
「デジタル化」という言葉は、単純な「電子化」や「IT化」という意味ではない、と安田氏は語る。「DX(デジタルトランスフォーメーション)」や「デジタル化」を進めるためには、「電子化」されたPDFや画像データ、WordやExcelに格納されたデータを、「使える状態=意味のあるデータ状態」にする必要がある。これを実現してくれる技術が「AI」だ。


「第三次AIブーム」におけるAIとは、「人間の認識と判断の一部分を置き換える技術」である、と安田氏は語った。例えば、「猫」の画像データは、そのままでは単なる「電子化された画像情報」だが、この画像が「猫である」と、AIによって解析・分類されたとたん、これは「デジタル化」された意味のあるデータになる。同様に、AIによる数値解析、音声解析、自然言語処理などによって、様々な非デジタルな情報が、デジタル情報に変換される、というのだ。
単に電子化されただけのPDFデータや、Word、Excelなどにまとめられた「非デジタル」なデータを、AIによって解析・分類された「デジタルデータ」に変換し、活用することが業務短縮・高速化の要である。
NTTテクノクロス社は、こうした企業内に眠る様々な非デジタルデータをデジタル化するソリューションを多数開発・提供している(図表1)。



最後に安田氏は、「AI導入の効果を最大化させる」3つ目のポイントとして、「関係者全員を巻き込むこと」について述べた。
AIなどの新概念をビジネスに導入する際は、PoC(Proof of Concept:概念実証。新しい概念やアイデアの実証を目的とした、試作開発の前段階における検証やデモンストレーションのこと)の実施が不可欠だ。しかし、このPoCが失敗するケースが非常に多い、と安田氏は語る。その原因について、安田氏は「関係者全員を巻き込めていないこと」をあげた。

AIプロジェクトは、通常、複数の関係者によって進められる。考え方や認識に様々な違いがあるチームの中で、それらをまとめることが難しいケースを、NTTテクノクロス社は多数見てきたという。例えば、開発者はAIに「高い精度」を求めるが、それが企業において「ビジネスにおける高い価値」につながるか、というと、必ずしもそうではない。こうした開発者側と企業側の認識の違いを埋める努力が必要だ。

NTTテクノクロス社では、AIプロジェクトの構成員を「開発元」「提供元」「顧客」という3つに分類した上で、それら考え方の違うステークホルダー同士を対話させるためのフレームワークを提供している。そして、プロセスごとに「よくある失敗パターン」を蓄積して、「導入障壁の最小化」を実現するサポートを行っている。

今後、同社では企業内に眠る様々なデータや業務ノウハウを結びつけつつ、ソリューションとしてひとつにまとめていくことを、企業のミッションとしていく方針だ。
当日、会場では、NTTテクノクロス社が開発した様々なソリューションの展示が行われていた。その中から、いくつかをご紹介したい。

NTTテクノクロス社が開発・支援する様々な「AIソリューション」




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●NTTテクノクロス株式会社へのお問い合わせはこちら
https://www.ntt-tx.co.jp/

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