2018年の景気概況について、銀行やシンクタンクの調査では回復が一段落した「踊り場局面」と見る傾向が強いようだ。そんな中、ネット通販を含め、小売業界では“モノ”がどれだけ売れたのだろうか。マーケティングリサーチ企業のGfKジャパンは、全国の有力家電・IT取扱店（家電量販店、総合量販店、カメラ専門店、携帯電話専門店、ネット通販など）の販売実績データ（POSデータ）をもとに、「2018年の家電およびIT市場の販売動向」を発表した。

なお本分析結果は、「国内家電小売市場」、「AV市場」、「テレコム市場」、「IT・オフィス市場」、「イメージング市場」、「生活家電市場」といった６つの市場カテゴリからなる。

ここでは、そのレポートから各市場の考察を抜粋して紹介する。

■国内家電小売市場

2018年の家電小売市場規模は前年並みの7兆500億円となった。分類別で最も伸びが高かったのは大型生活家電。猛暑によりエアコンが記録的な伸長をみせ、年間を通しても大型生活家電の販売を大きく押し上げた。

家電製品のインターネット販売は成長を維持し、販売金額は前年を9%程度上回った。家電小売市場における金額構成比は前年から1%ポイント上昇し、約14%となった。

■AV市場

2018年のAV市場は、主要製品である薄型テレビやBDレコーダーの買い替え需要の増加に加え、ワイヤレスイヤホンの伸長などにより、前年を上回った。

薄型テレビの販売台数は、前年比6%増の520万台。4Kテレビは前年比40%増、有機ELテレビの販売台数は前年の3倍以上に拡大した。

※GfKジャパン調べ

BDレコーダーは、7年ぶりに上昇基調に転じ、ヘッドホン／ヘッドセットは、Bluetooth対応機が市場の押し上げに大きく貢献し、前年から7割程度増加した。

■テレコム市場

携帯電話は、ここ2年微増傾向にあったスマートフォン（ファブレット含む）の販売が縮小に転じ、前年比5%減の2,810万台。

※GfKジャパン調べ

SIMフリースマートフォンの需要は一服するも、スマートフォンの大画面化は進展し、画面サイズが5.6インチ以上のモデルの数量構成比は、前年から25%ポイント拡大し33%となった。

ウェアラブル端末は、スマートウォッチが数量前年比55%増、コネクテッドウォッチが前年比95%増と、市場全体をけん引し、前年比18%増の140万台となった。

※GfKジャパン調べ

■IT・オフィス市場

パソコンは、前年比11%増の1,270万台。縮小傾向が続くリテール市場は前年比7%減の290万台、一方、リセラー市場は前年比21%増の600万台となった。

タブレット端末は、前年並みの720万台。そのうち過半を占めるリテール市場は、数量前年比14%減となった。一方のリセラー市場は、買い替え需要を取り込み、数量前年比23%増となった。

※GfKジャパン調べ

プリンター・複合機は、前年比6%減の460万台。スマートフォンやタブレット端末の普及による印刷需要の低下を背景に、リテール市場は前年比7%減の330万台となった。

■イメージング市場

デジタルカメラは、前年比13%減となり、300万台規模を下回った。数量構成比で65%を占めるコンパクトカメラは前年比11%減、35%を占めるレンズ交換式カメラは前年比17%減となった。

交換レンズは、前年比4%減の80万本弱となった。ただしミラーレス一眼用は前年比9%増と伸長し、交換レンズ全体の42%を占めた。

■生活家電市場

冷蔵庫は、前年比4%増の450万台と前年に続き拡大。猛暑の影響により年間販売の3割を占める6-8月期は前年比5%増となり、その後も堅調に販売を伸ばした。

洗濯機は、前年比3%増の510万台。タイプ別の数量構成比をみると、縦型85%、ドラム式12%、二槽式3%と前年から変動は見られなかった。

エアコンは、前年比12%増の920万台。年始は厳しい寒さから暖房需要を取り込み、夏季は例年より早い梅雨明けや猛暑により需要が急伸した。

※GfKジャパン調べ

掃除機は前年比3%減の810万台。キャニスタータイプが前年比10%減、ハンディータイプが前年比19%減と縮小した一方、スティックタイプは前年比8%増、ロボットタイプは前年比4%増と拡大した。

※GfKジャパン調べ