「業種別AIの導入状況に関するアンケート調査」 国内民間企業のAI導入率は2.9%、業種別では金融業が最も高く12.5%が活用中
労働力不足解消のため、AI活用による省力化や業務自動化が期待されている。現時点でAIの活用がどの程度進んでいるのか、矢野経済研究所が2018年12月に発表した、「AIの導入状況や業種別の動向」の結果から探ってみたい。
調査は2018年7月~11月、国内の民間企業515社を対象に記名式郵送アンケートによって行われた。また、本調査におけるAI(⼈⼯知能)とは、機械学習(ディープラーニングを含む)、⾃然⾔語処理、画像認識、機械翻訳、ロボット、チャットボット、RPA(Robotic Process Automation)などを指す。
この調査における、業界別のAI技術導入状況は下図の通り。
※株式会社矢野経済研究所調べ
全体では、AIを「すでに導入している」企業は2.9%。「実証実験(PoC)を行っている(5.8%)」と合わせても8.7%であった。
既にAI活用に取り組んでいる企業はまだ少ないが、「今後も取り組む予定はない」と答えた、関心の無い企業は15.0%にとどまった。このことから、全体的に AIへの関心が高いことがうかがえる。
また、業種別に見ると、「金融業」が12.5%と最も高く、次いで「プロセス製造業(3.9%)」、「加工組立製造業(3.7%)」、「サービス業(2.1%)」、「流通業(0.8%)」と続く。
「金融業」はもちろん「製造業」までが、全体よりやや高い傾向にあり、逆に最もAI導入率が低いのは「流通業」である。
流通業はITの活用に慎重な企業が多く、IT人材も少ないという実態があるため、業種別でAI導入率が最も低い結果となったと考えられる。
しかし、昨今、流通業を取り巻く環境は大きく変化している。少子高齢化による労働力不足が深刻化しており、店舗スタッフの雇用難、ベテランスタッフの高齢化や退職増などへの対策が喫緊の課題だ。
これらの流通業の課題解決に向け、決済や販売、需要予測等を支援するAIを搭載したソリューションが提供されており、省力化や業務自動化の効果は大きいと期待される。
とは言え、現在、流通業でのAIの活用は大手企業に集中している。中小企業への普及が進むためには、AIソリューションの低価格化や導入効果の明確な検証が求められる。
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